片岡コレクションに収蔵されているすべてのオブジェクト(レコード盤、袋、附属冊子、附属カード、レコードケース、アルバム)にはオブジェクトIDを、オブジェクトから生成したデジタルデータ(音声及び画像データ)にはデータIDを付与している。
1 オブジェクトID
オブジェクトIDは、レコードを識別する各要素をハイフンで以下のように繋げることで作成する。
「コレクション識別記号」-「レーベル略号」-「レコード(商品)番号」-「重複レコード識別記号」-「オブジェクトタイプ識別記号」
1.1 コレクション識別記号
片岡コレクションの略号としてKataokaの「K」を使用する。
1.2 レーベル略号
「レーベル表記及び略号一覧」 を参照。
1.3 レコード(商品)番号
レコード番号が不明な場合は作成順に連番数字を角括弧内に入れて表記。
例:「K-ZZZ-[1]-00」、「K-ZZZ-[2]-00」
1.4 重複レコード識別記号
片岡コレクション内に同じ商品番号のレコードがある場合、それらのレコードを区別するために便宜的に採用している記号。便宜的に「00」、「01」、「02」としている。
1.5 オブジェクトタイプ識別記号
オブジェクトの各タイプに以下の記号を割り当てる。
レコード盤 = 00
内袋(インナージャケット) = 01
袋(ジャケット) = 02
附属冊子 = 11
附属カード = 12
その他の付属品 = 19
アルバム = 91
レコードケース = 92
1.6 オブジェクトID生成例
片岡コレクション(コレクション識別記号:K)にあるアサヒレーベル(レーベル略号:A)のレコード番号が28300(レコード番号)の複数のレコード(オブジェクトタイプ識別記号:00)のうち、便宜的に最初としたレコード(重複レコード識別記号:00)のオブジェクトIDは「K-A-28300-00-00」となる。
2 データID
2.1 レコードに関するデータ
データIDは、データの元となったオブジェクトIDに続けて、データを識別する各要素を以下のようにハイフン及び下線(アンダーバー)で繋ぐことで作成する。
「オブジェクトID」_「オモテ・ウラ面情報」-または_「その他の情報」
2.1.1 オモテ・ウラ面情報
オモテ面の場合は「_A」、ウラ面の場合は「_B」を追記する。
また一つの面に複数の異なった収録内容が存在し、収録内容に応じて音声データを分割する場合は「1」、「2」、「3」を「A」か「B」の後につける。例えば、コロムビアレーベルでレコード番号85062のレコードのA面には『序之舞』、『早舞』、『車切り』の3曲が収録されているため、それぞれの音声データは「K-C-85062-00-00_A1」、「K-C-85062-00-00_A2」、「K-C-85062-00-00_A3」となる。
2.1.2 その他の情報(音声データ)
コンピューター上でデジタル処理をした場合、その情報を追記する。 音量正規化(normalisation)を行った場合、「-N」を追記する。 33回転で録音した音声データは「-33」を、このデータをデジタル処理で事後的に78回転での再生音に補正した場合は、「-78」を追記する。 盤面の状態によりレコードの途中までしか再生できなかった場合、「-P1」を、途中からしか再生できなかった場合は「-P2」を追記する。 一枚のレコードを異なる再生環境で音声データ化した場合は、データ作成順にデジタル化テイク番号として末尾に「-01」、「-02」、「-03」を追記する。但し、デジタル化作業ではデジタル化テイク番号が10を超えることはなかったため、IDに追記されている数字が「10」以下であればデジタル化テイク番号を、「33」か「78」であれば回転数を示す記号と判断できる。
2.1.3 その他の情報(画像データ)
レコード盤面の画像データのうち、レーベル部分の近接写真の場合はLabelの略として「_L」を追記する。
2.1.4 データID生成例
音声データの場合:
オブジェクトIDが「K-A-28300-00-00」のレコードのB面(オモテ・ウラ面情報:B)を異なる再生環境で音声データ化し、その初回デジタル化テイク(その他の情報:01)の音量を正規化した(その他の情報:N)音声データのデータIDは「K-A-28300-00-00_B-N-01」となる。正規化していない音声データのデータIDは「K-A-28300-00-00_B-01」となる。
画像データの場合:
オブジェクトIDが「K-A-28300-00-00」のレコードのB面のレーベル部分を拡大して撮影された(その他の情報:L)画像データのデータIDは「K-A-28300-00-00_B_L」となる。
2.2 レコード付属物の場合
画像データを作成する場合、オブジェクトIDの後に、下線とともに、データ作成順に連番で表記した2桁の数字を追記。
(例)
片岡コレクションにあるレコード(コロムビアレーベル、レコード番号25861)の付属冊子の画像データのうち6番目に作成したデータのデータIDは「K-C-25861-00-11_06」となる。
原則として、レーベル上の表記に忠実な形で入力。
1 誤記の扱い
レーベル上の表記に誤字があるとみられる場合も、原文に忠実に入力する。
例:正しい人物名が「Saint-Saëns」であってもレーベルに「Sarnt-Saence」と記載されている場合(K-C-W243-00)、「Sarnt-Saence」と入力。また文法上正しくは「Neues System Elektro Spezial」であってもレーベルに「Neue System Elektoro Spezial」と記載されている場合(K-XFT-T23-00)、文法上間違った表記である「Neue System Elektoro Spezial」を入力。
2 旧字体の扱い
日本語の場合、旧字体は旧字体として入力するが、技術的な理由により旧字体の入力ができない場合は新字体を使用。解読不能な文字に関しては、一文字毎に「[不明]」と表記。
3 ローマ字表記の扱い
ローマ字の場合、大文字小文字はレーベル上の表記に沿って入力。解読不明な文字に関しては一文字毎に「[illegible]」と表記。
一部簡素化した上で、ヘボン式に則ってローマ字変換を行う。
1 文字の変換規則
1.1 大文字・小文字の使い分け
固有名詞、名詞の場合、最初の1文字は大文字で表記。
(例)
ああ満州:Aa Manshû
春を待つ唄:Haru o matsu Uta
1.2 長母音
長母音には曲折アクセントを使用。
(例)
森鴎外:Mori Ôgai
但し「i」の長音の場合は「ii」と表記し、カタカナ表記される外来語由来の語の場合に限り、曲折アクセントで表記。
(例)
悲しい:Kanashii
スピード:Supîdo
1.3 分かち書き規則
形容動詞の活用語尾は自立語と分けて表記。
微妙な:Bimyô na
好きな:Suki na
1.4 複合語
可能な限り、二字からなる成分語に分けて表記。
(例)
一言一行:Ichigen Ikkô
慶応義塾大学経済学部:Keiô Gijuku Daigaku Keizai Gakubu
株式会社:Kabushiki Gaisha
株式会社製造:Kabushiki Gaisha Seizô
例外:並列的な関係をもつ成分語から複合語が構成されている場合は分かち書きを行わない。
(例)
都道府県:Todôfuken
市長区村:Shichôkuson
三語からなる複合語の場合、分かち書きを行わない。
(例)
経済的:Keizaiteki
生物学:Seibutsugaku
2 記述記号の変換規則
2.1 中点
中点を挟んだ2語が一つの意味を形成している場合や姓名の区切りに用いられている場合はスペースへ変換。中点を挟んだ2語が独立した意味をなし、並列関係にある場合はコンマに変換して表記。
(例)
中国・四国の民芸:Chûgoku Shikoku no Mingei
ポール・クローデル:Pôru Kurôderu
松本清長・山本周五郎:Matsumoto Seichô, Yamamoto Shûgorô
2.2 鍵括弧
引用符に変換して表記。
3 ハイフンの使用規則
ハイフンの使用は原則として極力控える。
3.1 呼びかけ語(「さん」「君」「ちゃん」等の場合)の場合
ハイフンを使用。
(例)
山田さん:Yamada-san
3.2 一般的な接尾語(伝、的、編、版等)の場合
ハイフンを使用しない。
(例)
次郎長伝:Jirochôden
番外編:Bangaihen
3.3 数字に続いてその単位を表記する場合
ハイフンを使用しない。
(例)
五八年度:Gojûhachi Nendo
一〇〇年:Hyaku Nen
昭和五八・五九年度:Shôwa Gojûhachi, Gojûkyû Nendo
3.4 「ん」の後に母音が続く場合
ハイフンを使用。
(例)
人生案内 Jinsei An-nai
尊王 Son-nô
4 その他の個別変換規則
4.1 「ん」
「n」の後にpかbが続くときは修正ヘボン式に則ってmではなくnと表記。
(例)
新聞:Shinbun
4.2 「ふ」
「Fu」へ変換。
(例)
納付済:Nôfuzumi
4.3 タイトルにおいて続き物の番号を示す数字
「7」はShichiと表記。
4.4 「ヴ」
ヘボン式に沿って「V」へ変換。
(例)
レヴュー:Revyû
4.5 「は」、「へ」、「を」 が助詞として使われている場合
ヘボン式に則って表記。
(例)
は:wa
へ:e
を:o
4.6 旧仮名遣い
現代の読み方に沿って表記。
(例)
思ひ出:Omoide
4.7 解読不能な文字
元となる日本語が解読不能な場合、日本語一文字毎に「[illegible]」と変換。
片岡コレクションに含まれる大部分のレコードは10インチだが、他の規格のレコードも含まれている。 ただし選択肢にある「8インチ」に関しては、文字通り8インチ(20.32センチ)の大きさを指しているのではなく、規格が存在しない19.5 cmのレコードを便宜的に表している。
通常、新譜月の前月にレコードは発売されたため、新譜としての発表年月と実際の販売開始年月日は異なる。
ここでは主題にあたる部分のみを入力。主題にあたるのか副題にあたるのかは、文字の大きさで判断し、大きい方を主題、小さい方を副題とみなす。
レコードの面を区別するために記載されている記号を、両面を比較することで差分を抽出し入力。
片面盤を除き、レコードには再生可能な面がオモテ面、ウラ面と2面ある。その2面を区別するための記号。通常はAかBで表記されるが、時代やレコード会社によってA面、B面という区分が廃止され、別の記号(☾や☆、または1と2)が導入されたことがあった。詳細については、ラインハルト・ツェルナー、湯川史郎、伊藤智央編『サウンドの歴史—日本学における歴史的音声メディアの利用に向けて』所収の両論文、毛利眞人「レコードを読む SPレコードに於けるメタデータ取得の手引き」及び同「SPレコードデータベースに於けるディスコグラフィの必要性」を参照。
顧客がレコードを注文する際に使う番号。オモテ面、ウラ面で通常は同一番号だが、一部のレーベルのレコードでは両面の数字が続き番号となっている。レーベルごとに、また同じレーベルでも時期によって使用された記号体系が異なる。詳細については、ラインハルト・ツェルナー、湯川史郎、伊藤智央編『サウンドの歴史—日本学における歴史的音声メディアの利用に向けて』所収の論文、毛利眞人「レコードを読む SPレコードに於けるメタデータ取得の手引き」を参照。
主題、副題とともに記載されており、録音内容の類型を示すものと思われるものを個別に判断して入力。
レコード会社によって使われており、レーベルに印字されている内容カテゴリー。レコード目録に示された類型については、ラインハルト・ツェルナー、湯川史郎、伊藤智央編『サウンドの歴史—日本学における歴史的音声メディアの利用に向けて』所収の湯川史郎「レコードの(間)メディア性について—弁士レコードのジャンル論のための予備的考察」を参照。
レコードの内容が録音収録された年月日(デジタル化年月日ではない)を指す。まれに録音日がレーベル上に記載されていることがある。その他の場合は、レコード会社の録音台帳には録音日が記載されているため、こうした情報を得ることができれば録音日の特定が可能となる。詳細については、ラインハルト・ツェルナー、湯川史郎、伊藤智央編『サウンドの歴史—日本学における歴史的音声メディアの利用に向けて』所収の両論文、毛利眞人「レコードを読む SPレコードに於けるメタデータ取得の手引き」及び同「SPレコードデータベースに於けるディスコグラフィの必要性」を参照。
レーベル上の記載された情報のうち、主題、副題、ジャンル、演者、商品番号にあたる記述を除いたものをすべてを入力。
記載事項の有無や内容、表記の差異により、レコードの製作時期が特定可能である。また同様な意味を持つ、意匠やロゴといった非文字情報についてはここではデータベースに入力していないが、これらは画像から直接確認できる。記載事項のレーベルごとの特徴とレコードの製作時期との関連については、ラインハルト・ツェルナー、湯川史郎、伊藤智央編『サウンドの歴史—日本学における歴史的音声メディアの利用に向けて』所収の両論文、毛利眞人「レコードを読む SPレコードに於けるメタデータ取得の手引き」及び同「SPレコードデータベースに於けるディスコグラフィの必要性」を参照。
マトリックス(原盤)番号は使用された録音スタジオや録音方法、予定されていたレコードの販売類型(廉価版等)を表すことがある。こうした番号体系は時代とともに変遷した。 物品税は1937年以降に導入され、法の改訂による税率の変化とともに刻印も変化した。 読み取りが困難なことが多いが、録音に携わった録音技師が鉄筆等でサインを残していることがある。 「その他」としてデータベースに入力している刻印には、1)マトリックス番号に付随して刻印されることもあるテイク番号、マザー原盤の版数やスタンパーの版数といった版数を示す記号、2)1934年以降始まる検閲制度に伴う「納付済」もしくは「SUBMT」の刻印、3)1940年以降では公定価格の区分を示す刻印がある。これらの刻印情報は、レコード製作・販売の年代、録音環境や製作事情の特定に意味をもつ。詳細については、ラインハルト・ツェルナー、湯川史郎、伊藤智央編『サウンドの歴史—日本学における歴史的音声メディアの利用に向けて』所収の両論文、毛利眞人「レコードを読む SPレコードに於けるメタデータ取得の手引き」及び同「SPレコードデータベースに於けるディスコグラフィの必要性」を参照。
レーベルによって特定の種類の刻印が特定の位置に押されていたため、位置情報は刻印の種類の識別に役立つ。詳細については、ラインハルト・ツェルナー、湯川史郎、伊藤智央編『サウンドの歴史—日本学における歴史的音声メディアの利用に向けて』所収の両論文、毛利眞人「レコードを読む SPレコードに於けるメタデータ取得の手引き」及び同「SPレコードデータベースに於けるディスコグラフィの必要性」を参照。
個人演者が演じている登場人物。例:「大石内蔵助」。
個人演者が使用している道具や楽器。
個人演者が収録内容に対して果たしている機能。例:「伴奏」。
レコード収録内容と関係のある作品。例えば映画説明レコードの場合、それが参照している映画タイトルを入力。
映画のシーンや活動弁士の説明を吹き込んだレコードの場合、参照元となる映画との関係性は多種多様である。例えば映画撮影ですでに降板していた元主演俳優が吹き込んでいるため参照元の映画とは「ズレ」が生じていたり、また参照元となった映画を異なったコンセプトの下で再構成している複数のレコードが存在している。また参照元となりうる映画が複数制作された場合は、特定の映画へ参照がなされなかった可能性すらある。詳細については、?????所収の両論文、湯川史郎「レコードの(間)メディア性について—弁士レコードのジャンル論のための予備的考察」及びケアスティン・フォーケン「失われた無声映画の音—映画作品を伴わない日本映画史におけるSPレコードの使用」を参照。こうした参照元の映画との「緩い」関係性は、上田学が指摘するように、都市圏以外では活弁SPレコードの鑑賞が必ずしも映画体験を前提としていなかったという可能性とも軌を一にしている。同所収、上田学「活弁SPレコードはどのように楽しまれたのか」を参照。
VIAFとはバーチャル国際典拠ファイル(Virtual International Authority File)の略。 VIAFには当該人物に関する情報が記載されている。例えばコード100及び400には名前に関する情報、946には性別、947には国籍、997には生没年月日がある。
発行元とレーベル名は一致しない場合がある。そもそも、レーベルは商品に付属したブランド名であり、会社名と一致する必然性はなかった。加えて会社名がレーベル名を表している場合も、発行元の統合買収により、レーベルは存続した上で発行元が変更する可能性があった。こうした発行元の推移については、ラインハルト・ツェルナー、湯川史郎、伊藤智央編『サウンドの歴史—日本学における歴史的音声メディアの利用に向けて』所収の両論文、毛利眞人「レコードを読む SPレコードに於けるメタデータ取得の手引き」及び同「SPレコードデータベースに於けるディスコグラフィの必要性」を参照。